東日本大震災から早1年半も経とうというのに、家の家具の耐震固定を完了してなかったんですよ…。
で、先日とうとう全部完了しました。
と言っても、今までにもある程度はやってきてまして、残っていたのは以下3つ。
(1)寝室のタンス(IKEAのMALMというチェスト)の耐震固定
(2)寝室の37型液晶テレビの耐震固定
(3)リビングの収納開き戸4セット扉8枚への耐震ラッチ取り付け
この三つの耐震固定が結構難しくて、今までズルズルと来てしまってたんですよね…。
で、この度思い切って全部終えてしまおうということで、やってみました。
まずは
【(1)IKEAで買ったMALMというチェストの耐震固定】
です。
こちら、IKEAのサイトでパッケージ重量を確認したところ42.1kgと書いてありましたので、ま、実際の組立後重量も40kgくらいはあるわけです。
そこに衣類が満載にはいってるわけですから、使用状態での総重量は80kgくらいはあるのかな、と。
万が一このタンスが飛んできたとして、下敷きになったのが僕だったとしたら運が良ければ大怪我くらいで済むかも知れませんけれど、子供たちだったら怪我じゃすまないかな、という事で…。
この製品、標準でも壁に固定するための金具がついていたんですが、残念なことに、タンスを設置している壁が吹き抜けの裏側の壁でして、上手いこと固定ができるような柱や桟が無かったんです。
で、どうするのが良いか色々考えたんですが、まずは消防庁のサイトで家具が転倒するメカニズムなどを確認。
【総務省消防庁 生活密着情報「地震などの災害に備えて」より抜粋】
壁に密着している家具に対して地震の力Pが加わると、手前下部のヘリを中心点として前に倒れ込む動きを起こします。
で、家具を転倒させないための一番の基本は、この「前への倒れこみ」を起こさせない様に、背面の壁に対して家具を固定してしまうことなわけです。
「家具の重量と同じ大きさの力が重心に水平に加わった場合、家具を頂部で壁に固定するためには、重量の約1/2の力が必要」
中学で物理をしっかりとやらなかったのでちょっと自信が無いですが、「家具を動かすことができる力」というのは、家具の重量よりもずっと小さい力なはずです(80kgのタンスも、別に80kgの力で押さなくても動きますよね)。
なので「家具の重量と同じ大きさの力が重心に水平に加わる」というのは、家具が吹っ飛ぶくらいの力なハズで、上記の固定方法はこのくらいの力に対して対処できるような固定方法ということになります。
※ただし、この「1/2」という数字は、恐らく震度6クラス〜震度7でも震度6に近い揺れの地震を想定した数値と思われます。
加速度を表す単位に「ガル」という単位がありまして、地球の地表の重力加速度は、ガルでいうと981ガル、1G=981ガルということになります。
このガルで地震の大きさを表した場合、震度6の地震が250〜400ガルで、震度6だった関東大震災の実績値が300〜400ガル、震度7の地震が400ガル以上で、震度7だった阪神淡路大震災の実績値が600〜800ガル、同じく震度7だった東日本大震災の実績値が600〜3,000ガル(以上)と言われています。
つまり、震度6〜震度7の前半程度までであれば、重力加速度の半分程度の力の大きさの揺れになるということで、このあたりから「1/2」という数字が出されているのかな、と。
もっと言うならば、東日本大震災で最大の揺れを観測した場所を想定するのであれば、3,000ガル以上=3G以上ということになるわけで、「家具の重量の1/2程度」ではなく「家具の重量の3倍程度」の力で固定する必要があることになります。
このあたりの話になると「耐震の目標となる震度をいくつにするか」という話になってしまうのですが、上記をふまえて、取り敢えずのところは「最低でも家具の重量の1/2、最大で家具の重量の3倍程度の力に耐えることを目指して、可能な限りしっかりと固定する」というくらいの認識で行くしか無いのかなと思います。
今回のタンスは約80kgという想定ですので、多めに考えて100kg、その1/2で「50kg程度の力に耐えることを最低限の目安」として、「300kg程度まで耐えうる力で固定することを可能な限り目指す」ということにしたいと思います。
で、今回の最大の問題はタンスの後ろの壁にしっかりとした柱などが無いという点。
色々考えたんですが、今回は「床」を使うことにしました。
(1)家具の側板側に金具を取り付けて、そこと側面側の床を紐で固定する。
(2)上記に加えて、家具の前面を床と固定する。
この2本立てで「50kg以上(努力目標上限300kg)の力で背面壁に固定」することにします。
家具の前転を防ぐ基本の固定は(1)の役割で、家具が前に移動してきたり、不規則な方向に回転しようとしたりするのを防ぐ補助的な固定が(2)という分担です。
まずはサイド。
タンスの側面にドリルで穴を開けて、そこに金具を取り付けます。
逆側も。片側に各2個の金具を取り付けて、力を分散させられればなと(実際にはしっかりと張っている方どれか一つの金具に力が集中してしまうことになると思うので、理想で言えばこの金具一つで50kgが支えれれると良いわけです。結構しっかりとした金具を太め且つ長めのタッピングネジで留めてありますので、恐らく大丈夫かなと…)。
で、側面の床にも同様に金具を取り付けます。
床の方は将来的に移動したりすることもありえるので、鬼目ナットを埋め込んで、そこにネジ留めする様にしてみました。
こっちのほうが、ネジ径が太くなる分強度も増すのでは無いかと。
あまり大きな力がかかった場合、フローリングが剥がれる可能性もあるかな、ということで、複数のフローリングに分散するようにして金具を取り付けてみました。
右側も同様に2つの金具を床に取り付け。
で、タンスの側面の金具と床の金具を、船舶用の耐荷重数百kgまでOKなロープで結びます。
この様に床に固定することで、家具が前転することを防いでくれるという目論見です。
で、更にタンス前面の下部を床に固定します。
こうやって前面下部も固定することで、家具が前にずれてきてロープがたるむのを防ぎつつ、前転運動の支点も固定できるので、サイドのロープに変な方向の力が加わるのを防ごうという目論見です。
各金具一箇あたりで言えば、片側だけに負荷がかかっても各50kgくらいは十分に耐えられると思うので、取り敢えずタンスの固定についてはこんな感じで何とかなったのでは無いかと思います(努力目標の300kgについては、半分で金具一個あたりでも150kgということになるのですが、このクラスになると耐えられるか正直微妙だと思います。ただしこれは、震度7の、しかも最大激震地という想定の揺れですので、このケースではタンスの前から逃げるための数秒を稼げればOKというくらいで考えるしか無いのかなと思います。あまり考えたくないですが、このレベルの揺れが来たら、家屋のほうが倒壊する可能性の方が高いと思いますし…)。
※タンスの固定方法について、後になって考えなおしてみたんですが、力を分散させるために、タンス側も床側も、全部の金具を一本のロープで通す様にしてみました。
こうすることで、仮に偏った力が加わってきても、力は4箇所の金具に分散されやすくなるかなと思います(どこか一箇所の金具が外れてしまったときに緩むことを避けるために、元々張っていたロープは残しつつ、更に4箇所の金具全てをたすきがけに通したロープを追加)。
続きまして、
【(2)37型液晶テレビの耐震固定】
です。
正確な重量は知りませんが、シャープのサイトで現行ラインナップの40インチのものがスタンド込み16.5kgとありましたから、一昔前の37インチもその程度の重量はあるでしょう。
子供たちの上に倒れてきたら大怪我をする可能性は十分にありますので、やはり耐震固定が必要かなと。
最初は底面に貼る転倒防止のジェルで固定しようかと考えたんですが、うちの場合はテレビ台の上で向きを変えたりして動かすことが結構あるので、ジェルで固定してしまうとちょっと具合が宜しくない。
で、タンスと同じくロープと金具で固定するのが良いかなと思ったんですが、このやり方で何が困ったかというと、「テレビにロープなどを通せる部分が無い」という点です。
で、色々考えた結果、熱排気用のダクト部分にワイヤーを通して、そこにロープを掛けることにしました。
ダクト部分とボディは一体の部品なので、強い力で引っ張られてもダクトのみが外れるようなことはありません。ただし、ダクトのスリット部自体の強度に若干不安があったので(棒状の部分が折れてしまうなど)、なるべく多くのスリットに対してワイヤーを掛けるようにしてみました。
全部で3箇所、同じようにワイヤーを掛けます。
で、テレビ台の方にも金具を取り付けて、テレビのダクト部分とテレビ台を船舶用のロープで結びます。
これで地震が来てもテレビ台から前に倒れこんでくることは防げると思います。
大きな揺れがきたら、もしかするとテレビ台が前に動いて来て、隙間が空いた後ろ側に倒れたりすることはあるかも知れませんが、それは仕方がないかな、と。
目的は「テレビを壊さないこと」ではなくて「テレビの下敷きにならないこと」ですから。
最後に、
【(3)リビングの収納の開き戸への耐震ラッチ取り付け】
です。
これはもう単純明快に、市販の耐震ラッチを買ってきて取り付けるだけ。
実は耐震ラッチ自体は以前に購入済みだったんですが、取り付けが何だか面倒くさくて先延ばしにしてしまってました…。
耐震ラッチは、信頼のムラコシ精工製の、サイレントでない普通のタイプ、型番PFR-TSSを選択。
耐震ラッチのパッケージに「プッシュオープンタイプの扉、キャッチ(バネ)付きスライドヒンジ以外の丁番が取り付いた扉には使用できません。」的なことが書いてあって、ココらへんが素人にはわかりづらいんですが、ムラコシ精工のサイトの説明を見ると分り易いです。
で、実際にうちの開き戸の丁番はといいますと…。
実はプッシュオープンタイプでも、キャッチ(バネ)付きスライドヒンジでも無い、単なる開き戸なんですが、自己責任で「OK」という判断にしてしまいました。
これ、実物を見てみるとよく分かるんですが、ロック機構自体は上記の2種類の丁番でなくてもしっかりと働きます(揺れを感知するとフックがロックされて、扉が開かなくなる)。
ではなぜ「プッシュオープンタイプまたはキャッチ(バネ)付きスライドヒンジ」という条件がついているのかというと、「(あくまで想像ですが)上記2種以外の丁番だと、揺れた瞬間、ロック機構が働く前に扉が開いてしまう可能性があるから」なんだと思います。
つまり、ロック機構自体は震度5弱程度で動作する仕様なんですが、上記2種以外のタイプの開き戸だと、それ以下の震度4などで扉が開いてしまう可能性があるので、動作保証できないということなんだと理解しました(あくまで僕の理解であって、メーカー側の説明というわけでは無いです)。
で、実際のところ、プッシュオープンでも無いキャッチ(バネ)付きでも無いウチの開き戸はどうなのかという話なんですが…。
昨年の東日本大震災の際、東京は震度5強の揺れを観測しまして、木造軸組工法3階建ての2階にあるウチのリビングも相当揺れました。
が、開き戸の扉は全然開かなかったので、ま、大丈夫かなと。
だって、耐震ラッチを取り付けるにしても、ムラコシのコレが一番確実そうで、コレ使いたかったんですもの…。
揺れの方向によっては開いちゃうこともあるかも知れませんけれど、防災とか耐震って、最後は運の話でもあるわけで(極端な話をすれば、開き戸は開かなかったけれど建物が倒壊することだってありえるわけじゃないですか…)、「やれることをヤル」方針で淡々とやるしか無いのかなと思います。
少なくとも震度4クラスで開き戸が開いてしまうということは今までにも無かったですし、「余り重たいものは高い位置の収納には入れない」という対処との合わせ技で、あくまで自己責任ということで。
取り付けたところはこんな感じです。
この右側のフックが、通常時は上下に自由に動くようになっていて左側の「受け」に引っかからないようになっているんですが、震度5弱以上の揺れを与えるとロックされて動かなくなる機構になってまして、そのおかげで開き戸が開かなくなるわけです(ロックされてから一定時間静かな状態にしておくと、またロックが解除されて、扉が開くようになります)。
Amazonのレビューなんかみると、「取り付けが結構大変」的なことが書いてありましたけれど、それほど大変じゃないと思います。
電動ドライバーを使って、1箇所あたり5分強、8箇所全部つけても1時間くらいで取り付け終わりました(ネジ穴をキリでいちいち開けていくとしたら結構面倒くさいと重ますけれど、電動ドライバー+ドリルセットがあれば大したことは無いです)。
コレでやっと全ての家具の耐震固定が完了しました!
この耐震固定が役に立つような地震が起きないのが一番いいんですけれどね。
※ココで紹介している耐震固定方法は僕なりに色々考えてやってみた方法ですが、僕は所詮素人ですので、実際にご自宅の家具の耐震固定などをする場合には、消防庁のサイトや専門家の方のアドバイスを参考にしつつ、しっかりと検討されることをおすすめします。
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